タスク管理の金字塔「GTD」を使いこなそう
脳をストレスフリーにするタスク管理術の金字塔「GTD」。
あらゆるタスク管理法を転々としてきた方も、初めてGTDを知る方も、ぜひ基本を押さえておきたい優秀なツールです。
実は私も最近知った考え方で、「なるほどなー」「これならヌケモレなくタスク管理できそう!」と感じたのでまとめてみました。
タスク管理の金字塔「GTD」
発案者による書籍の翻訳です。新装版もありますが、個人的にはこっちのほうが読みやすいですね。興味のある方はぜひ。
漫画でサクッと知りたい!という方はこれがおすすめ。今ならAmazon Unlimitedでも読めます。
GTDは、正確には「Getting Things Done(仕事を成し遂げる)」というタスク管理術です。
GTDは、基本的に以下の5ステップからなります。
- 気になることを1ヶ所に「収集」
- それぞれ何をするべきかを明らかにする「処理」
- 処理した結果を「整理」
- 行動の選択肢を改めて「レビュー」
- 選んだ行動を「実行」
まず、「やるべきタスクやアイデア」を”すべて”記録して収集。仕事に限らずすべてのタスクやアイデアを集め、一つずつ整理します。整理したものの行動の選択肢をレビュー(再評価)し、精査した行動を実行します。
これで頭の中に眠っているタスクやアイデアをすべて覚えなくてもよくなりますし、「で、次に何をやるんだったっけ?」「あれもこれもやらなくちゃいけない…」という堂々巡りの思考に陥ることなく、自分のやるべきことに集中できるという仕組みです。
ただタスクを書きだすだけであれば、ToDoリストとそう変わらないという印象を持つかもしれません。しかし、このGTDというタスク管理術はToDoリストではカバーしきれなかった「小説を1冊書き上げる」という複雑かつ漠然としたタスクや、「歯磨き粉がなくなりそうだ、週末に買ってこなくちゃ」という未来の些細なタスクも管理することができます。
つまり、やるべきことだけではなく「やりかけのタスク」「やりたいけど今じゃないタスク」「アイデア」などをすべて管理できる方法というわけです。
一見するとシンプルですが、昔からライフハッカーたちがこぞって取り入れてきた方法だけに、効果は期待できます。正しく運用できさえすればきっと、やり残したタスクを後から思い出すとか、意図せずプロジェクトを諦めるなんてことは二度となくなる…かもしれません。
- GTDの目的:なすべきことを記録し、頭の中のリソースを確保し、タスクをヌケモレなく完了させる
- 収集、処理、整理、レビュー、実行の5つのステップからなる
用意するもの
- 筆記用具
- 紙の束やメモ帳
- ファイル
- カレンダー
- ゴミ箱
とりあえずこれだけあればできます。まずは紙で運用してみて、慣れてきたら手帳やEvernoteなどのアプリなど、自分の使いやすいツールを選ぶといいかもしれませんね。
GTDのフロー
まずはフォルダをつくる
- インボックス:アイデアとタスクが発生した時すぐに保存する
- 次にやること:インボックスから救い上げた、すぐ取り掛かれそうなタスク
- プロジェクト:達成のために複数の行動が必要なタスク
- 連絡待ち:相手の反応待ちリスト。発生日を書いておくとなお良い
- いつかやる/たぶんやる:いつやるかは分からないが、いつかはやりたいものを保管。
- 備忘録:日付は決まっているが先の予定を記録しておく。単発リマインダー。
- カレンダー:時間と場所が固定されており動かせない予定を入れる。
「収集」する
頭の中のアイデアやタスクをインボックスにすべて書きだす
やるべき仕事、覚えておくべきこと、やってる最中のこと、ふっと湧いて出たプロジェクトのアイデアなどなど…とにかく、すべてをいったん吐き出す場所が「インボックス」です。
インボックスにするツールは、ヒップスターPDA、メモ帳、手帳、ふせん、Evernoteなどのアプリ、iPhoneのメモ帳など、なんでも構いません。
頭の中で覚えているだけでは、あれもしなきゃ、これもしなきゃと思考がとっ散らかってしまい、結果的にうまくタスク処理ができません。インボックスは、すべきことを頭の中からすべて追い出し、これを記録し、整理できる状態にするための場所です。
ただし、頭の中のごちゃごちゃしたタスクをいつまでもインボックスに寝かせておくわけにはいきません。週に1回はインボックスを一つひとつ整理する時間を設け、完全に空っぽにする必要があります。
このことを、GTDでは「レビュー」と呼びます。レビューとは、リスト内のタスクを空っぽにする・見直す・進行させる・保留するといういずれかのアクションを取ることを指します。
- インボックスで、すべきタスクに関する雑然とした思考をすべて頭から追い出す
- インボックスは、週1で見直して空にする
「処理」する
インボックスに入れたタスクを一つひとつ処理していきます。
「これは行動を起こすべきタスクか?」
インボックスの中に入っているタスクを見て、「行動を起こすべきタスクか?」と考えます。
まず、インボックスにあるリストのうち、上から順番に処理していきます。一度処理したタスクは、何があってもインボックスに戻してはいけません。
YES:行動を起こすべき
・2つ以上の行動が必要なものは「プロジェクト」とし、実行する前に計画を立てます。
⇒「プロジェクト・リスト」へ
・1つの行動で済むもののうち、人に任せられるものは人に任せてしまう。
⇒「連絡待ち」リストへ
・1つの行動で済むもののうち、自分がやるべきで、今すぐ取り掛かった方が良い場合。
⇒「次にやること」リストへ
・1つの行動で済むが、わりと先のタスクだ。別に今日やらなくてもいい。
⇒「カレンダー」へ。
・1つの行動で済むうえに2分以内に終わりそうな場合。
⇒リストには入れない。いますぐやろう!
GTDには「2分ルール」があります。リストに追加する時間を割くよりも片付けたほうが早いというタスクは、すぐに終わらせてしまいましょう。
NO:今行動を起こさなくてもいい
- 資料やアイデアだ。手を加える必要はない。
⇒「資料」へ。 - いつかは分からないが、いつかはやるだろう。たぶん。
⇒「いつかやる」リストへ。 - ある特定の期日までは考える必要がない。
⇒「備忘録(リマインダー)」へ。 - これは不要なタスクだ。残しておいても意味がない。
⇒「ゴミ箱」へ。そのタスクのことは忘れよう。
- インボックスにあるタスクは、「行動をおこすべきかどうか」をまず考える
- 行動すべき
⇒プロジェクト、連絡待ち、カレンダー、次にやることのいずれかに移す
⇒もし2分以内に終わるならすぐやる! - 今は行動しなくてもいい
⇒資料、いつかやる、ゴミ箱のいずれかに移す - インボックスには絶対にタスクを戻さないこと
各リストの紹介は、以下の「整理」で行ないます。
「整理」する
GTDで使うリストは、大きく分けて5つあります。
インボックスにあるタスクは「処理」をすることで各リストへ振り分けられます。このリストを常に追いかけることで、モレなくタスクをこなしていきます。
「次にやること」リスト
次に取るべきアクションを決める
さまざまなタスクの、次に取るべきアクションを書き留めるリストです。
タスク(仕事)を終える方法はさまざまですが、最初にするべきアクションというのは必ず存在します。これを「次にやること」リストに入れることで、手持ちのタスクを進行させるのです。
「時間ができたときにやること」は状況に応じて分類する
書籍・ストレスフリーの管理術いわく、「次にやること」リストのタスクは状況に応じて分類すると良いそうです。たとえば、「オフィス」「自宅」といった場所の指定、あるいは「電話」「LINE」といった具合に。
そうすれば、その状況になったときまとめてタスクを片付けられます。パソコンを開いたときに@パソコンのリストをおいておけばついでに片付けられますし、カフェにいる状況で@カフェのリストをおいておけば、カフェで過ごす時間を有意義に過ごせるでしょう。
そこまで精力的に活動していない、次にやることリストの数が少ないという場合は分類しなくてもいいと思います。その辺は好みに合わせて取り入れるかどうか見極めてください。
一例を出します。まず、以下のようなプロジェクトがあったとします。
例1)仕事:A案件を進める
- アポを取る@スマホ
- プレゼン資料の作成@パソコン
- 打ち合わせ(カレンダーへ)
- 先方に確認メールをする@電車
- 週次報告書の作成@自宅
例2)プライベート:みんなでボルダリングをする
- どれくらいの人数で行くのか把握@スマホ
- 場所を調べる@スマホ
- 予約を入れる@スマホ
- 当日にアラームをセット@自宅
これらを、@で細分化した「次にやること」リストへ振り分けていき、その状況が来たら上から順番に片付けていきます。
「プロジェクト」リスト
複雑なタスクを一つひとつ処理する
インボックスに吐き出した、プライベートや仕事での「気になること(GTD風にいうとオープン・ループ)」のうち、2回以上の行動が必要となる複雑なタスクは「プロジェクト」と呼ばれます。
プロジェクトに関する「次にやること」は基本的に後回しにして、まずは1回で終わる単純なタスクから片付けていくのがルールです。
また、プロジェクトは常に追いかけ、定期的に(少なくとも週1で)見直す必要があります。
「連絡待ち」リスト
誰かからの連絡を待っていることを忘れずにいる
誰かに「次にやること」リストのタスクを任せるとき、プロジェクトにおいて先方のアクションを待たなければならない時があります(例えば上司からの承認、「旅行の計画を立てておくね」と息巻いていた友人からの連絡、クレジットカードの査定結果など)。
「連絡待ち」リストに入っているものは定期的にチェックし、任せていたタスクが完了したか、ちゃんとプロジェクトが動いているかなどを見直します。
もしタスクを他人に任せられるのであれば、自分の時間を増やすためにも積極的に他人に任せるべきだというのがGTDの考え方です。
普段、「これは他人に任せられるだろうか?」と考える機会はないかもしれませんが、じっくり考えてみると案外多くのタスクを人に任せられるものですし、そうでなくても「このタスクをこなすのは不可能だ、上司や身近な人に相談する余地がある」とか「別に急ぎではないし、後回しにしてもいいな」と気付くはずです。
「いつかやる」リスト
期限は決まっていないがやりたいこと
いつかはやりたいけれど、今はしなくてもいいようなタスクは「いつかやる」リストに入れます
(例えば「英語の勉強をする」とか「リフレッシュのために有休を取る」など)。
備忘録
いわゆる単発リマインダー
日付は決まっているものの、まだ先の予定を記録しておく場所です。
アナログでやる場合は、12ヶ月+31日分の計43つのファイルを用意して、未来のタスクを管理します。毎日、日付フォルダを開けてタスクをすべて片付け、空になった日付フォルダを次月のフォルダに入れていきます。
こういった類のタスクはカレンダーに書きがちですが、GTDにおいては「誰かと共有しており、時間・場所が決められている」予定以外はカレンダーに書きません。
「カレンダー」
締め切りが絶対の仕事/決まってしまった予定を入れる
カレンダーも、GTDになくてはならないツールです。ただし、カレンダーに入れる予定はある程度絞ります。
特にGTDでは、締め切りを厳守しなければならない仕事や、すでに時間や場所が決められおり絶対に動かせない約束に限り、カレンダーにいれるべきと勧めています。
これらの予定のことを、GTDではハード・ランドスケープと呼びます。意訳すると「誰かと共通かつ強固な予定」。
時間と場所がすでに定まっており、決して動かせないタスクのみカレンダーに追加します。
一人ですべて完結するタスクは、基本的にカレンダーには入りません。
そういったタスクは、カレンダーではなく「次にやること」リストに入れましょう。
資料
いつでも確認できる資料として保管する場所
資料として保存する場所です。いつでも手に取れる場所に置いておきましょう。
「見直し」をする
見直しをして随時更新しなければ、せっかく書きだしたタスクが処理されないままどんどん溜まってしまいます。
リストを見直して、やり残していることがあればすぐに着手します。
週次レビューをやろう
最低でも週に1回は「インデックス」「次にやること」「プロジェクト」「連絡待ち」リストを見返し、タスクの進捗をチェックする、必要・不要を判断する時間を取ります。そして、インボックスや各リストを新しい状態にします。
「実行」する
あとはできあがったリストをどんどん片付けていくだけです。
先延ばししやすい人はとにかく上から片付ける
先延ばししがちな人の場合、リストの中でも簡単なものから選んでしまい、後に大変なものが残りがち。先延ばしをしないためには、まずリストの上から順番に着手するというルールを課したほうが良いです。
週次レビューをしよう!
毎日見直す
- 備忘録(リマインダー)
最低でも週1で見直す
- インボックス
- 次にやること
- プロジェクト
- 連絡待ち
- いつかやる/たぶんやる
- カレンダー
基本的に見直す必要はない
- 資料
まとめ :タスクをすべて頭の外に出すとストレスが減る!
最終的に、GTDでやるべきことを管理するためには以下の3つのポイントを押さえることが大切です。
- 「やるべきこと」を頭の外にある信頼できるシステムに預ける。
- 「やるべきこと」に対して本当にしたいことを考え、終わらせるために何をするべきか考える。
- 「やるべきこと」に対して取るべきアクションが決まったら信頼できるリマインダーに登録し、かつ定期的に“本当にこのアクションは必要か?”をレビューする。
運用していて思ったのは、とにかく「頭に煩わしいタスクがない状態は快適」ということ。
頭の中に漠然とあった思いつきも「あとどれだけ、何をすべきか」まで落とし込み、ゴールが見えたために着手するハードルがグッと下がりました。
GTDを完璧に回せるようになったら頭のリソースが温存できて、もっと面白いことに頭を使えそう…!と思わせてくれるツールですね。
とはいえ、いきなり全部を組み込むのは大変なので、まずは「インボックス」や「次にやるべきこと」「週次レビュー」から取り入れてみて、徐々にGTDのシステムに慣れていくのも良いかなと思います。